漆ムロの経年状況

ブログでもご紹介した初めての漆ムロを経て、今年2月に組立式の漆ムロ「URUSHI MURO BOX KD」の予約販売を開始しました。移動時に解体ができ、持ち運べるようにしたものでスーツケース(大)に入れて運ぶことが可能です。InstagramとHPで公開し、少量生産のため現在ご予約いただいた限定数を生産させていただいております。(2末で申し込みは一旦締め切りました)

正直なところ、安いものではないので反応がなければ生産はやめようと思っていましたが、有難いことに予想以上の反響をいただきました。国内だけではなく海外からもお問合せがあり、オンラインショップで取り扱いたいというオファーなど、おそらく本格的な漆室はオーダー品以外に手に入りにくく、私と同じ悩みをお持ちの方が多いのかもしれません。またデザインもシンプルで素敵とのお声もいただきました。誠にありがとうございました!

片面を水で濡らして使うという天然木材の無塗装の箱や家具はかなり特殊、これだけでも木工工場では二の足を踏まれることが多く、そのためこれまで市場になかったのだろうと思います。また、漆室を頻繁に解体する組立式もなかったので、どんな風に経年していくのかリアルな状況をご紹介し、漆芸をされる方には周知のことも多いと思いますが共有したいと思います。

初代完成品は約20ヶ月、組立式は9ヶ月使用、完成品のようにずっと組み立て済みで使用していると痛みは少なめです。内部は高頻度で使用される方であればより染みは多くなると思います。私は完成品を常時使用、組立式は金継ぎWSで使用するだけのため使用時間は少なく、移動時に解体することが多い使用方法です。

          完成品の20ヶ月後の外観と内部(常時定位置で使用)

使用感と染みの状態 取手付近は特に汚れやすい
水で濡らすので染み多く、パーツにも痛み

        組立式の9ヶ月後の外観と内部(移動時に解体、WSで使用)

外部を濡らした染みが多く、解体時のあたりで角に擦れあり
外側と内部は同じ程度の染み、内部パーツには痛みが少々

組立式は解体時や組立時に傷がつく機会が多いので柔らかい布の上で組み立てること、布に包んでスーツケースに入れることが大事です。私はWSの会場でちゃんとできていなかったため、できていればもっと傷も少ないと思います。無塗装の桐材はやわらかく傷がつきやすいので要注意です。移動時以外はなるべく組みたてた状態で使っていただくことが推奨されます。

また、WS会場に2ヶ月保管していただいた際に空調が強く設定されており(真冬27度強でした)、エアコン直下の風に長時間あたってしまい解体していた板に反りが発生しました。家のリビングや倉庫に入れた時には発生したことはないので、エアコンの直風、日射を避けるという天然木材の鉄則はやはりとても重要だと実感しました。その反りを戻すために、反っていない面(外側)に水を大量に吹きかけたため、外側にたくさん染みができています。また硬い床に2度ほどパタンと勢いよく落としてしまい衝撃と乾燥からかひびが扉の右側に生じました。使用していくとどうしても傷や漆の汚れ、水分による染みがつきますので経年効果も勲章としてお楽しみいただくのもよいし、遊び心で漆で外側には絵を描いたりするのも面白いかもしれません。

反省から柔らかい布として購入したのはIKEAの膝掛け。新聞紙や緩衝シート、ネル地やシーツでも良いですが、安価で嵩張らないのでおすすめです。IVITMOSSA ヴィートモッサ(再生ポリエステル100%)1枚399円

https://www.ikea.com/jp/ja/p/vitmossa-throw-grey-70304890/

経過の様子や対策などご参考になれば嬉しいです。

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