漆ムロのこと

漆は乾かすために湿度が必要です。普通の塗料とは正反対、乾燥に湿度がいるという不思議。

金継ぎには何度も漆を塗っては乾かすという工程が入ります。金継ぎを始めた頃は段ボール箱や、木箱など身近にある箱を活用していました。ビニールを敷き、霧吹きで湿り気を与え、濡らした新聞紙やクッキングペーパーなどで湿度を保ちます。簡易ムロでもそこそこの作業は確かに可能です。湿度計で75%から80%程度の湿度を保つのですが、季節によって、天候によって、温度によって、毎日条件が違うため、また、使用する漆の種類、生産地、工程によって乾燥するまでの時間も違うので、見極めはとても難しく、木の漆ムロを持つことをずっと夢見ていたのです。

そしてやっと昨年ですが、マイムロを作っていただくことができました!何が違うとかいうと、まずは湿度の安定感。木の厚みもある程度必要で、無塗装で湿度を保てること、どっこ式の扉で埃を吸いこまいないなど特別に作ってもらったことの違いは大きいと思います。手板の枚数を調整できたり、高さを自由に変えることができたり、あとは修理中のものをきちんと収めておく場所ができ、やるべきこと次の工程がわかりやすくなり、洋間においても違和感のない外観の見た目なども重要で、満足度が大きく変わりました。

簡易的なものしか市販されておらず、金継ぎをしている方、蒔絵、漆芸をされている方でマイムロを考えている方に近い将来ご紹介をしたいと思っています。

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